いま、ほとんどの人がスマートフォンを持ち、インターネットを介して通信しています。 IC カードやスマートフォンによるキャッシュレス決済が一般化し、現金を使わない取引が増えました。 企業や公共機関ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、 業務そのものをデジタル技術で作り変える動きが広がっています。
その中心にあるコンピュータは、じつはそれ自体としては目的を持たない機械です。 同じ機械が、ソフトウェアを入れ替えるだけで、 文書を書く道具にも、音楽を作る道具にも、株価を予測する道具にもなります。 さらにセンサーが環境のデータを取り込み、 機械学習と組み合わさることで、高度な分析ができるようになりました。 こうして集まったビッグデータが、マーケティング・物流・医療で使われています。
コンピュータは、大きく次の 2 つからできています。
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ハードウェア | 「金物」。物理的に目に見えるもの | CPU(中央処理装置)、メモリ(RAM)、記憶装置(HDD/SSD)、キーボード、マウス、ディスプレイ |
| ソフトウェア | 「命令の集まり」。文章や手順 | OS(Windows, macOS, Linux)、アプリケーションソフトウェア(表計算、ブラウザ) |
そして、それらの部品の間でデータを運ぶ通信路がバス(bus)です。 バスには役割の違う 3 種類があります。
| バスの種類 | 運ぶもの |
|---|---|
| データバス | データそのもの |
| コントロールバス | 制御信号(読め、書け、といった指示) |
| アドレスバス | 記憶装置の番地(アドレス)の指定 |
バスは、電源を入れたまま機器を「接続」「取り外し」できるように作られています。 USB 機器を抜き差ししても本体が止まらないのは、この仕組みのおかげです。
コンピュータの世界は、下から順に三層に積み上がっています。 上の層は、下の層のことを細かく知らなくても使えるようになっています。
まず下の 3 つのボタンから層をひとつ選び、次に当てはまる言葉をクリックして仕分けてください。 全部仕分けたら「答え合わせ」を押します。
| 時代 | すがた |
|---|---|
| 初期 | ENIAC(1946 年)。真空管を使った巨大な機械。のちにトランジスタ方式へ |
| 現代 | スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス(Apple Watch など) |
| クラウドコンピューティング | データをサーバ上で管理・処理する |
| エッジコンピューティング | IoT デバイス側でデータを処理し、クラウドの負担を軽くする |
ハードウェアは、CPU を中心に記憶装置・周辺装置の研究が進みましたが、 基本的な論理回路の構成は変わっていません。 変わったのは「とにかく小さくする」という方向と、使い勝手のよい OS です。 その結果、IC カードやスマートフォンのようにキーボードのないコンピュータが当たり前になりました。
情報技術(Information Technology)は、 通信を含めた情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)と呼ばれるようになりました。 「いつでもどこでもコンピュータがある」社会をユビキタス社会といいます。 モバイル端末による遠隔医療(オンライン診療)や、自動運転車による交通の効率化がその例です。
IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」。 物理的なデバイスにコンピュータを組み込み、インターネットを通じてデータを送受信し、 「もの」同士がコミュニケーションするという考え方です。
→ くわしくは第13回・第14回「IoT と社会」で扱います。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ビッグデータ | 統計学・データマイニング・機械学習を使って意思決定を支援する、大量のデータ |
| クラスタリング | 似たデータをグループにまとめる |
| 時系列分析 | 売上予測、気象予測 |
| 機械学習 | データからパターンを学習し、予測を行う技術 |
| 深層学習 | ニューラルネットワークを用いた高度なデータ分析技術 |
応用例:マーケティング(ターゲット広告の最適化)、金融(不正取引検出、投資分析)、 医療(がんの早期診断、画像診断 AI)。
特定の産業分野と ICT を組み合わせた言葉が、次々に作られています。 下の言葉をクリックすると、何と何の組み合わせで、何をするのかが出ます。
情報セキュリティの課題。 情報技術が発展するほど、サイバー攻撃やプライバシーの問題が重くなります。 対策としては、暗号化技術(SSL/TLS、ブロックチェーン)、二要素認証(2FA)や生体認証(指紋・顔認証)、 そしてゼロトラストセキュリティ── すべての通信を疑い、継続的に認証を行う考え方があります。 → 第12回でくわしく扱います。
| 技術 | 何が変わるか |
|---|---|
| 量子コンピュータ | 従来のコンピュータでは解くのが難しい問題を高速に処理する |
| 5G・6G 通信 | IoT や自動運転を支える次世代通信 |
| AI | 活用が進むほど、倫理的な課題への対応が重要になる |
教科書:『情報学基礎』(培風館、ISBN 978-4-563-01605-0)。 文系の学生のための情報学の入門書です。