情報学基礎 / 第 1 回

はじめに ── 情報学の全体像

この授業で何を学ぶのか。コンピュータとは何者か

この回のねらい

背景 ── なぜ「情報学」を学ぶのか

いま、ほとんどの人がスマートフォンを持ち、インターネットを介して通信しています。 IC カードやスマートフォンによるキャッシュレス決済が一般化し、現金を使わない取引が増えました。 企業や公共機関ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、 業務そのものをデジタル技術で作り変える動きが広がっています。

その中心にあるコンピュータは、じつはそれ自体としては目的を持たない機械です。 同じ機械が、ソフトウェアを入れ替えるだけで、 文書を書く道具にも、音楽を作る道具にも、株価を予測する道具にもなります。 さらにセンサーが環境のデータを取り込み、 機械学習と組み合わさることで、高度な分析ができるようになりました。 こうして集まったビッグデータが、マーケティング・物流・医療で使われています。

コンピュータの構成

コンピュータは、大きく次の 2 つからできています。

区分意味
ハードウェア「金物」。物理的に目に見えるもの CPU(中央処理装置)、メモリ(RAM)、記憶装置(HDD/SSD)、キーボード、マウス、ディスプレイ
ソフトウェア「命令の集まり」。文章や手順 OS(Windows, macOS, Linux)、アプリケーションソフトウェア(表計算、ブラウザ)

そして、それらの部品の間でデータを運ぶ通信路がバス(bus)です。 バスには役割の違う 3 種類があります。

バスの種類運ぶもの
データバスデータそのもの
コントロールバス制御信号(読め、書け、といった指示)
アドレスバス記憶装置の番地(アドレス)の指定

バスは、電源を入れたまま機器を「接続」「取り外し」できるように作られています。 USB 機器を抜き差ししても本体が止まらないのは、この仕組みのおかげです。

三層構造 ── ハードウェアの上に、OS、その上にアプリ

コンピュータの世界は、下から順に三層に積み上がっています。 上の層は、下の層のことを細かく知らなくても使えるようになっています。

これはどの層?動かせます

まず下の 3 つのボタンから層をひとつ選び、次に当てはまる言葉をクリックして仕分けてください。 全部仕分けたら「答え合わせ」を押します。

層を選んでから、言葉をクリックしてください。

コンピュータの発展

時代すがた
初期ENIAC(1946 年)。真空管を使った巨大な機械。のちにトランジスタ方式へ
現代スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス(Apple Watch など)
クラウドコンピューティングデータをサーバ上で管理・処理する
エッジコンピューティングIoT デバイス側でデータを処理し、クラウドの負担を軽くする

ハードウェアは、CPU を中心に記憶装置・周辺装置の研究が進みましたが、 基本的な論理回路の構成は変わっていません。 変わったのは「とにかく小さくする」という方向と、使い勝手のよい OS です。 その結果、IC カードやスマートフォンのようにキーボードのないコンピュータが当たり前になりました。

IT から ICT へ、そしてユビキタス社会

情報技術(Information Technology)は、 通信を含めた情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)と呼ばれるようになりました。 「いつでもどこでもコンピュータがある」社会をユビキタス社会といいます。 モバイル端末による遠隔医療(オンライン診療)や、自動運転車による交通の効率化がその例です。

IoT ── モノのインターネット

IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」。 物理的なデバイスにコンピュータを組み込み、インターネットを通じてデータを送受信し、 「もの」同士がコミュニケーションするという考え方です。

→ くわしくは第13回・第14回「IoT と社会」で扱います。

データサイエンスと人工知能

言葉意味
ビッグデータ統計学・データマイニング・機械学習を使って意思決定を支援する、大量のデータ
クラスタリング似たデータをグループにまとめる
時系列分析売上予測、気象予測
機械学習データからパターンを学習し、予測を行う技術
深層学習ニューラルネットワークを用いた高度なデータ分析技術

応用例:マーケティング(ターゲット広告の最適化)、金融(不正取引検出、投資分析)、 医療(がんの早期診断、画像診断 AI)。

xxxTech ── 産業と ICT の融合

特定の産業分野と ICT を組み合わせた言葉が、次々に作られています。 下の言葉をクリックすると、何と何の組み合わせで、何をするのかが出ます。

xxxTech を開くクリック
言葉をクリックしてください。

キャッシュレス社会の進展

情報セキュリティの課題。 情報技術が発展するほど、サイバー攻撃やプライバシーの問題が重くなります。 対策としては、暗号化技術(SSL/TLS、ブロックチェーン)、二要素認証(2FA)や生体認証(指紋・顔認証)、 そしてゼロトラストセキュリティ── すべての通信を疑い、継続的に認証を行う考え方があります。 → 第12回でくわしく扱います。

これからの技術動向

技術何が変わるか
量子コンピュータ従来のコンピュータでは解くのが難しい問題を高速に処理する
5G・6G 通信IoT や自動運転を支える次世代通信
AI活用が進むほど、倫理的な課題への対応が重要になる

この授業の地図(全14回)

14回のつながりクリック
回をクリックすると、そこで何をするかが出ます。

教科書:『情報学基礎』(培風館、ISBN 978-4-563-01605-0)。 文系の学生のための情報学の入門書です。

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