システム管理論 II / 第 12 回

線形計画法(3)・総合演習

演習と、この授業のまとめ

この回のねらい

演習 ── 条件を変えてみる

前回と同じワイン農家の問題ですが、加藤家の条件が変わりました。 赤ワイン 1 樽を作るのに、葡萄 8 トン2 人が必要になったとします (前回は 9 トンと 1 人)。他の条件は同じです。

定式化

8x + 5y ≦ 50 (葡萄)
2x + 5y ≦ 10 (人手)
x ≧ 0, y ≧ 0
5x + 10y → 最大

自分で係数を変えて解いてみる数値を変える

やってみてほしいこと。 白の単価を 10 万円から少しずつ下げてみてください。 ある値を境に最適な頂点が別の角へ飛び移ります。 目的関数の直線の傾きが、制約線の傾きと一致した瞬間には、 辺の上のどの点も最適になります(解が 1 つに定まらない)。

特殊な場合

場合図でどう見えるか意味
解が 1 つ1 つの頂点で止まるふつうの場合
解が無数目的関数の直線が制約線と平行で、辺全体で接するどの配分でも同じ利益
解が無い(実行不可能)実行可能領域が空制約が矛盾している
解が無限大領域が開いていて、いくらでも上へ動かせる制約の書き忘れを疑う

この授業のまとめ

4 つの道具を扱いました。見た目はばらばらですが、共通する骨組みがあります。

4 つの道具
道具問い答えを出す鍵
2–3新聞売り子問題何個仕入れるか期待値、臨界比
4–5PERTいつ終わるか、どこを急ぐか前進・後退計算、クリティカルパス
6–10ゲーム理論相手がいるとき何を選ぶか支配戦略、マキシミン、混合戦略
11–12線形計画法資源をどう配分するか実行可能領域、頂点

共通しているのは、この 3 段階です

  1. 翻訳する。ことばの問題を、変数・制約・目的に書き換える。 ここがいちばん難しく、いちばん大事なところです。
  2. 解く。手順は決まっています。計算そのものは機械にやらせてかまいません。
  3. 読み解く。出た数字が何を意味するのか、 条件が変わったら答えはどう動くのかを考える。

この授業でくり返し見たのは、 「どちらの損が大きいかを比べる」という発想でした。
新聞売り子では売れ残りの損と品切れの損。 PERT では急ぐコストと遅れるコスト。 ゲーム理論では最悪の場合の損。 線形計画法では、限られた資源をどちらに割り当てるかによる機会の損。
意思決定とは、何かを得ることではなく、どの損を引き受けるかを選ぶことだとも言えます。

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