経営学が扱う資源は、伝統的に 人・もの・金 の 3 つと言われてきました。 そこに 4 つめとして 情報 が加わります。 そして情報を扱う技術が IT(Information Technology, 情報技術) です。
数学は道具である。論理学は道具である。難しい計算は、コンピュータに。
この授業で数式が出てきますが、目的は数式を覚えることではありません。 一見むずかしい社会の問題を、いかに論理的に解くか ── そのための道具として使います。
この 3 つはよく混同されますが、順に価値が上がっていく階段だと考えてください。
| 層 | 中身 | コンビニの例 |
|---|---|---|
| データ | まだ意味づけされていない記録 | 「10/1、おにぎり、38」という数字の並び |
| 情報 | 目的に沿って整理され、意味を持ったもの | 「10月1日のおにぎりの売上は38個だった」 |
| 知識 | くり返し使える判断の根拠になったもの | 「雨の日は約2割落ちるので、仕入れを減らすべきだ」 |
データを情報に変え、情報を知識に変える。 そこではじめて利益に結びつきます。 第2回以降で扱う「おにぎり管理問題」は、まさにこの階段を上る練習です。 売上の記録(データ)から需要の分布(情報)を作り、 そこから「何個仕入れるべきか」という判断(知識)を導きます。
コンピュータ(computer)とは、計算する(compute)機械です。 名詞の -er は「〜する人/もの」ですから、語そのものが「計算するもの」を意味しています。
ここでいう「計算」は算数だけを指しません。 決められた手続きに従って記号を書き換えていく操作すべてが計算です。 だからこそ、経路探索も、会計処理も、需要予測も、すべて計算として扱えます。
| 問い | 対応する分野 |
|---|---|
| コンピュータ内部はどうなっているのか | 計算機の仕組み、2進数、ハードウェア |
| 情報はどのように表現されるのか | 情報の表現 |
| 通信はどのように行われるのか | ネットワーク、情報システム |
| 情報をどのように守るのか | 情報セキュリティ |
| ソフトウェアはどのように記述するのか | プログラミング言語、OS |
| ソフトウェアをどのように設計するのか | ソフトウェア工学 |
システム管理論 II では、そのうち「経営の意思決定を数理で支える」部分を扱います。 扱う道具は 4 つです。
| 回 | 道具 | 答える問い | 鍵になる考え方 |
|---|---|---|---|
| 2–3 | 新聞売り子問題 | 何個仕入れるべきか | 期待値、機会損失 |
| 4–5 | PERT | いつ終わるか、どこを急ぐか | クリティカルパス |
| 6–10 | ゲーム理論 | 相手がいるとき何を選ぶか | 支配戦略、ミニマックス |
| 11–12 | 線形計画法 | 限られた資源をどう配分するか | 実行可能領域、頂点 |
4 つに共通するのは、「現実の問題を、変数と式に翻訳する」という一点です。 翻訳さえできれば、あとの計算は機械にやらせられます。 この授業でいちばん練習してほしいのは、その翻訳の部分です。